官舎の話~古い官舎の冬~
11月になり、すっかり寒くなってきた。
冬は、官舎が抱えるさまざまな問題が露呈する季節である。
現在私が住んでいる官舎は、比較的築年数が浅いため、民間のマンションとほぼ同じスペックだと思う。
でも、昨年まで住んでいた官舎は、典型的な「昭和の官舎」であったため、夏はともかく冬がとても辛かった。
そんな官舎の思い出を列挙してみたいと思う。
①風呂場が寒すぎる問題
以前の官舎には、独立洗面台と脱衣所がなかった。
玄関のドアを開けるとすぐ右手に風呂場のドアがあり、風呂場の中に浴槽・洗い場・洗面台があった。
床はタイル張り、壁は打ちっぱなしのコンクリートであった。
もう、字面だけで寒々しい。
換気扇がなく、小さな窓がひとつあるきりなので、年中窓を開けておかないとすぐにカビた。開けておいてもカビた。
そんなお風呂でも、唯一救いだったのは全自動給湯であったことだ。
昭和に建てられた官舎は、いまだにガスで焚くお風呂であることが多い。
私が住んでいた官舎は、数年前に空焚きして火事になりかけたことがあったため、全自動になったらしい。
ガス焚きのお風呂は、うっかりしていると大事故にもなりかねないので、不注意者の私としては全自動で本当によかった。
②台所のお湯が出ない問題
古い官舎は、台所の換気扇と給湯器も自分でつけなければならないらしい。
私が入居した時は、夫の転属まであと少しというタイミングだったので、夫が給湯器をつけてくれなかった。
冷水に耐えながら洗い物を終えた後に「ごめん、お弁当箱出し忘れてた」など言われた日には、「貴様ァ…!」と言いたくなったものである。
夫婦円満のためにも、お湯は必要だと思った。
③そもそも部屋が寒すぎる問題
以前住んでいたのは、3階だというのに異常に底冷えのする官舎だった。
一番日当たりの悪い部屋なんて、部屋全体が冷蔵庫みたいだった。
3DKの間取りだったが、唯一フローリングのダイニングキッチンが特に寒かった。
たぶん、最近のマンションのように気密性が高くないのだと思う。
あと、風が強い地域だったのでそれもあったと思う。
夫が当直で家に一人の時など、寒すぎて泣きたかった。
それでも、節約のためにエアコンは使わないように、というお触れを守っていた自分は健気だったと思う。
そんな官舎生活であったが、実はもっと不便な官舎もあるという。
官舎で選べるのは「入居する or しない」ことだけで、間取りや立地は一切選べない。
どんな官舎に入るかは運によるところが大きいので、次回の転属ではどうなるか、今からけっこう不安だったりするのでした…