陸自妻的官舎ノ日々

特に役にもたたない自衛隊や官舎の話をつらつら綴っています。

情報保全の話

1月某日、夕食の席で夫が言った。

「そういえば、上級部隊から『SNSに自分の所属とか、防大○期とか生徒○期って書くな』って通達がきたよ」

えっ、今さら?と思った。

自衛官は、職業柄、情報保全については教育を受けているし、点検もある。
ただし「職場の情報を持ち出さない」という部分に関しては厳しくても、「情報を流出させない隊員の意識づくり」に関してはまだ甘い気がする。
なぜなら、Twitterでちょっと検索をかければ、本名・駐屯地名・顔出し写真を載せている自衛官がたくさんいるからだ。
中には未成年の飲酒や喫煙が疑われるようはものもあって、情報保全とは別の部分に引っ掛かるのではないかと心配してしまう。

海上自衛官は、SNSの利用そのものを制限されるという話を聞いたことがある。
SNSへの投稿頻度やパターンから、航海の日程が割り出されてしまう恐れがあるからだという。
素人目にはわからなくても、見る人が見たら情報の欠片を繋ぎ合わせて大きいものが見えてくるってことなんだろう。

私もTwitterをしているのだけれど、自衛官妻という肩書きを出してしている以上、うっかり私が情報流出源になってしまわないよう気を付けている。
官品や糧食の写真、訓練の日程や内容など、基本的に夫が注意していることと同じことを注意している。
ちなみに、限定公開機能は最初から信用していない。
限定公開にしたところでブロックできるのは初見の人間の目くらいで、一度ネット上に上げた情報を完全に回収することは不可能だからだ。
逆に、限定公開にしているから安心だと思っている人の方が危険かもしれない。

知人の自衛官に「(自衛隊とは関係ないけれど)ネット上にアップしてはいけない写真」をブログに上げている人がいた。
しかし、それを本人に忠告したところ「限定公開にしているから大丈夫」との認識だった。
その人の頭の中には「誰かがスクリーンショットを撮って二次的に広める可能性」がなかったのだ。
幹部自衛官でさえそういう認識であることに、心配半分、呆れ半分だった。


途中から、自衛隊と関係なく「SNSを利用する上での心構え」みたいな話になってしまったけれど、なぜ私がこんなにSNSを警戒しているかというと、私が子供の頃は「ネット上で本名を出すなんてとんでもない」と教えられていたからだ。

私は現在20代後半。初めてインターネットに触れたのは、小学校の高学年だった。(もちろん家族共有のパソコンから、親の監督のもと)
その頃はまだ、インターネットとはいろんな人が有象無象に入り乱れる匿名の世界という認識だった。
数年経って前略プロフィールが流行ったときも、本名をフルネームで載せる人はまだ多くなかったように思う。
けれど、mixiを経てFacebookが広まり、インターネットは「現実の生活の続き」という感覚が強まってきた。
更にそこにTwitterという拡散性に特化したSNSがあって、今の若い人は、素顔や本名を明かしたまま「友達とするような会話」を全世界に公開することに躊躇いを感じなくなっているように思う。
それって本当は結構危険なんだよ、と言っても、ネットに触れ始めたときから「そう」だから、危機感を感じないのかもしれない。

でも、国防に携わる人がそういう認識では困るはず。
今、本名や所属をプロフィールに書いて「訓練きつかったー」と写真つきでネットにアップしている人たちは、いつそれに気づくんだろう?


…なんて、今回はなんだかお説教ぽくなってしまいました。