陸自妻的官舎ノ日々

特に役にもたたない自衛隊や官舎の話をつらつら綴っています。

Tポイントを貯めてときめきを買う話

先月、独身の友人と会ったとき「結婚して何か変わった?」と訊かれた。
私は少し考えて、「ときめきを感じにくくなった」と答えた。

夫と交際を始めた頃からカウントして3年目。
いわゆる「ドキドキしなくなる期」である。
もちろん、この先長く一緒にいるに当たってしょっちゅうドキドキしていたら早死にするので、これは人体として当然の防御反応といえる。
けれど、些細なことでときめいていた頃が懐かしく恋しい、と思うのもまた事実。
そんな話を夫にしたら、ノリノリで「恋愛ゲームでもしてみたら?ダウトってやつが流行ってるらしいよ!」と言われた。
それは、流行っているのでなくTwitterの広告で流れてくるだけでは…

そんなある日、たまたま見かけたバナー広告から飛んだ電子コミックの無料立ち読みで、久々にときめいた。
それが、天下のハーレクイン様だった。

ハーレクインとは、カナダに本社がある恋愛小説で有名な出版社である。
うちの母も昔、文庫を買っていた記憶がある。
お金持ちのイケメンにヒロインが見初められ、紆余曲折を経て結ばれる。
水戸黄門ばりに決まりきった物語の定型なのだが、必ずハッピーエンドなのがいい。
しかも、男性キャラが日本人ではありえない歯の浮くような台詞をキメてくれるのにテンションが上がる。
「きみはそこにいるだけで僕を誘惑しているんだ」「僕は今夜、きみを抱くよ」とか言われた日には…クゥ~~~~!
ハーレクインコミック独特の絵柄(きれいめのレディコミ風。だいたい男の顎がシュッとしている)も癖になる。

そんな訳で、Yahooブックストアでハーレクインコミックの無料立ち読みをむさぼる日々が続いた。
Yahoo様は太っ腹なので、無料でも50ページくらい読ませてくれる。
でも、やっぱり最後まで読みたい…しかし、課金となるとハードルが上がる。
それに、一冊買ってしまってら欲望のままにあれもこれも買ってしまいそうで恐ろしいのだ。

そんなある日、ふと気づいた。
YahooブックストアはTポイントが使える!
速攻Tカードをスキャンしてポイント数を確認すると…買える!100日間のレンタル版だけど、一冊買えるよ~!
……という訳で、厳選に厳選を重ねて、一番読みたかった一冊をTポイントで購入した。
そして、もとがとれるくらい充分にときめいた。(脱衣ビリヤードのあたりで悶絶した)
懐かしい…中学生くらいの時って、こんな風に少女漫画にドキドキしたよね。
歳を重ねてもときめきの感度をみずみずしく持ちたい、と思った一件であった。
今後もコツコツTポイントを貯めて、たまのご褒美にハーレクインコミックを買ってときめきたいと思う。

ちなみに、この話を実家の母にしたら大変ウケた。

私「ハーレクインの相手役って、大抵、CEO・名家の御曹司・シークのどれかだよね」
母「わかる~~!あと、ギリシャの大富豪ってのもあるよね!」

さすが母。

夫の趣味

以前、官舎育ちの友人に「自衛官と結婚するなら、酒・たばこ・ギャンブルについて必ずチェックすること」と言われたことがある。
自衛官は、男社会だからか、この3つを嗜んでいる人が多い。
その点うちの夫は、酒は付き合い程度、たばことギャンブルは一切せず、大変お買い得な物件だったといえよう。

自衛官の中には、酒よりも宴会そのものが好きな人もいる。
こういう方々は、奥さんに睨まれつつ、様々なアリバイ工作を施しながらこっそり飲み歩いているらしい。
一方うちの夫は、宴会は最小限しか出席せず、しかも二次会にも行くことはほとんどない。
バイクや車といったお金のかかる趣味もなく、家計に優しい夫である。

そんな夫の趣味は、ネットゲームだ。
しかも、課金するわけでもオンラインで女の子といちゃいちゃするわけでもなく、もくもくと対戦してはコツコツ経験値を上げるという、これまた朴訥な遊び方である。

夫の休日は、朝の対戦から始まる。
この時間は猛者が少なく、比較的勝率がいいらしい。
このまま放っておくと、延々と対戦している。
2時間くらい経ったところで、ずっとBGMを聞かされている私がうんざりしだす。
昼ごはんを食べたり、少し休憩を挟んだりしてまた対戦。
たまに昼寝したり2chまとめサイトを見たりしてさらに対戦。
いい加減私がキレる。いい加減にしてよ!いつまでゲームしてんの!?
でも、夕飯を食べてお風呂から上がるとまた対戦している。
このくらいの時間になると猛者が多いらしく、しょっちゅう死んでいる。
ていうか、いい加減にしてほしい……

基本的に、夫はやさしい。
休日、私が家事に手を抜いても文句も言わず、進んで手伝ってくれさえする。
そんな夫の数少ない趣味なので、快くゲームを楽しませてあげたいと思ってはいるのだけれど…
夫のプレイ時間は、私のキャパシティを超えていた。

ちなみに、夫の遊んでいるゲームは、戦艦を操ってチームで戦うというものだ。
オンの時間は陸上自衛官として働き、オフの時間は艦艇乗りとして架空の領海を守っている。
そんなに戦艦が好きなら海自に入ればよかったのに…と思うのだけれど、趣味と仕事は違うらしい。
でも、ゲームでは負けてばっかりなので、本職にしなくて良かったのかもしれない。

官舎の話~古い官舎の冬~

11月になり、すっかり寒くなってきた。

冬は、官舎が抱えるさまざまな問題が露呈する季節である。

現在私が住んでいる官舎は、比較的築年数が浅いため、民間のマンションとほぼ同じスペックだと思う。

でも、昨年まで住んでいた官舎は、典型的な「昭和の官舎」であったため、夏はともかく冬がとても辛かった。

そんな官舎の思い出を列挙してみたいと思う。

 

①風呂場が寒すぎる問題

以前の官舎には、独立洗面台と脱衣所がなかった。

玄関のドアを開けるとすぐ右手に風呂場のドアがあり、風呂場の中に浴槽・洗い場・洗面台があった。

床はタイル張り、壁は打ちっぱなしのコンクリートであった。

もう、字面だけで寒々しい。

換気扇がなく、小さな窓がひとつあるきりなので、年中窓を開けておかないとすぐにカビた。開けておいてもカビた。

そんなお風呂でも、唯一救いだったのは全自動給湯であったことだ。

昭和に建てられた官舎は、いまだにガスで焚くお風呂であることが多い。

私が住んでいた官舎は、数年前に空焚きして火事になりかけたことがあったため、全自動になったらしい。

ガス焚きのお風呂は、うっかりしていると大事故にもなりかねないので、不注意者の私としては全自動で本当によかった。

 

②台所のお湯が出ない問題

古い官舎は、台所の換気扇と給湯器も自分でつけなければならないらしい。

私が入居した時は、夫の転属まであと少しというタイミングだったので、夫が給湯器をつけてくれなかった。

冷水に耐えながら洗い物を終えた後に「ごめん、お弁当箱出し忘れてた」など言われた日には、「貴様ァ…!」と言いたくなったものである。

夫婦円満のためにも、お湯は必要だと思った。

 

③そもそも部屋が寒すぎる問題

以前住んでいたのは、3階だというのに異常に底冷えのする官舎だった。

一番日当たりの悪い部屋なんて、部屋全体が冷蔵庫みたいだった。

3DKの間取りだったが、唯一フローリングのダイニングキッチンが特に寒かった。

たぶん、最近のマンションのように気密性が高くないのだと思う。

あと、風が強い地域だったのでそれもあったと思う。

夫が当直で家に一人の時など、寒すぎて泣きたかった。

それでも、節約のためにエアコンは使わないように、というお触れを守っていた自分は健気だったと思う。

 

 

そんな官舎生活であったが、実はもっと不便な官舎もあるという。

官舎で選べるのは「入居する or しない」ことだけで、間取りや立地は一切選べない。

どんな官舎に入るかは運によるところが大きいので、次回の転属ではどうなるか、今からけっこう不安だったりするのでした…

 

占いの話

占いといえば、もうひとつ思い出す話がある。

 

夫と交際を始めて4ヶ月ほど経ったころ、中華街デートをした。

点心食べ放題のお店に行ってから中華街を散策し、相性占いをしてもらって足つぼマッサージにいこうというものだ。

そのプランを聞いたとき、正直「マジかよ…」と思った。

デートで相性占いだなんて、なんて恐ろしい橋を渡ろうとするんだろう。

もし、「相性最悪です」なんて言われたら、その後どんな顔をすればよいのか。

そんなことを考える私とは裏腹に、なぜか夫には「絶対相性がいい」という自信があったようだ。めっちゃポジティブな人だな。

 

中華街の母に手相をガッツリ見られ、「あなたは専業主婦むいてないわよ」等言われる。

肝心の相性はなかなか良かったようで一安心したが、母が執拗に「でもねえ、他に好きな人ができたら相性は変わるから」と繰り返すのが意味深であった。

そして、夫の手相をマジマジと見ながら、母が一言「…あなた、お仕事は?」。

夫が、正直に「自衛官」と答えあぐねている間に母が続ける。

 

「あなたね、体を動かす仕事は向いてないわよ」

 

私も夫も絶句した。

体を動かす仕事って。自衛官じゃん。ピンポイントじゃん。

しかも、入隊したてのペーペーならまだしも、夫は赤いきつねをもらっている10年選手である。

今更むいてないとか…言われても…

 

このように、初対面の占い師にこれまでのキャリアをばっさり斬られた夫ではあったが、相変わらず自衛隊は好きだし自衛官の自分に誇りを持っている。

それが証拠に、新婚旅行の時、英語で書く税関申告書の職業欄に「soldier」と書こうとしていた。

soldier(兵士)てアンタ…間違いではないのかもしれないけど何かが違う…

 

ひとまず、夫には今後とも仕事に邁進していただきたい所存である。

28歳の決意

先日、満を持して28歳になった。

ジブリファンとしては、「ついにクロトワ参謀長殿より年上になってしまった…」

もしくは、「ついにムスカ大佐と同じ年になってしまった…」という感じである。

 

さて、28歳といえば思い出すことがある。

あれは、23歳の年末のことだった。

幼馴染Mが、地元で当たると評判の占いカフェに連れて行ってくれた。

当時、彼氏と別れて半年、色恋沙汰にサッパリ縁がなかった私は、迷わず恋愛運を見てもらった。

 

占い師のおばば曰く、「今は大殺界、年が明けたら大殺界から抜けてモテ期が始まる」。

おばばの言うには、24歳でモテ期がやってきて25歳で彼氏ができる、3年ほど付き合って28歳で結婚するのがよかろうとのことである。

しかも、私は必ず結婚できる、相手は年上で経済的に豊かな人だという。ヤッター!

 

実際、おばばの言うことはけっこう当たった。

数えで24歳の年、人生最大のモテ期がきた。

25歳の時に今の夫と交際を始め、昨年結婚した。

おばばが予言した通り、夫は年上である。

ただし、経済的に豊かだ、と言い切るには微妙だ。

現在の夫がおばばのいう相手だったのか、確かめようにも件の占いカフェは閉店してしまったらしい。

でも、夫が運命の相手じゃなくても、縁あって好きあって結婚したんだもんね。

だから、今後とも夫を大切にしていこうと思う。